どんな職業であれ、人から見たら単純で簡単な作業に見えてもいざやって
見ると難しいもの。ましてや名人になるほど動きに無駄がないので、
だれにでも出来そうに思う。
造林作業の一つ、地拵えも散乱している枝を拾って等高線に沿って並べるだけの
単純作業。拾うまではお猿さんでもできるが、どこを握ってどう地面に
並べるか、曲がった長い枝は同じ曲がりに揃っているか、どの高さまで積み
上げるか、どの広さまで拾って次の場所に移動するかなど、動作は一つ見えて
も同時進行で考えていることは10も20もある。
早くきれいにできる人は、こうしたことをより多く会得しているが、僕の場合は
造林作業に特化した筋肉を使って、今まで力任せにやってきた。
力任せの地拵えはどこか荒っぽく、台風の去った後の海岸線の流木のよう。
いい歳になったので、木の枝を寝かしつける気持ちで置きたいものだ。
