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山畑からの便り

僕の指先は生まれてこの方、木と土以外ほとんど見たことがありません。

山の仕事が休みの日は庭いじりか、山の畑で一日中土いじりをしていることが多いためです。

そのため手はグロ-ブをはめているかのように大きくなり、指先は柿の木の根っこのように

土焼けして節くれだっています。

今までずっと頑張ってきた手なので褒めてあげるべきなのですが、お店で釣銭をもらう時に

たいていの店員さんは見てはいけないものを見てしまったような顔をします。

この歳になっても白魚のように細くて長い指にあこがれますが、手を酷使する労働に特化して

いるので何を触っても手袋をさす必要もないし、荒れてもったいない感は皆無です。
職種によって容姿が変化するのは当たり前のことですが、それを恥ずかしいと思う自分が

いることを、手に対して済まない気持ちでいます。

今日は梅雨空の下、芋のツルを指で押し込んでいます。

山の畑なので石ころが多く、指はささくれだって痛々しいですが、僕の精神から離脱して活き

活きと働いています。

                   藤の花 鋏のさきに挿(‘かざし)しつつ 沢蟹歩く五月雨の道